突出した高騰劇を演じるココアとコーヒー

 2020年の年初(コロナショック直前)と足元を比較すると、カカオが4.2倍、冷凍オレンジジュースは3.7倍、コーヒーは2.3倍、赤身豚肉は1.6倍、生牛は1.4倍、砂糖は1.3倍です。

 急騰劇が大きく報じられている金(ゴールド)が1.5倍、原油が1.6倍であることを考えると、原油などの大型商品に比べて市場規模が小さい農産物銘柄は、人知れず急騰を演じてきたと言えます。

 こうした農産物銘柄の高騰は、食品価格高の大きな要因です。世界分断がもたらす産油国に絡む戦争をきっかけとした供給減少懸念、減産という名の出し渋りとは別の要因です。

図:農産物価格の騰落率(2020年年初と直近を比較 米国の先物市場)

出所:Investing.comのデータを基に筆者作成

 こうした農産物相場を長期視点で下支えする材料には、少なくとも次の四つがあります。(1)異常気象起因の主要生産国での生産量減少、(2)嗜好(しこう)品を求める人口の増加、(3)ESG起因の生産者寄りの価格設定の普及、(4)長引く電気・輸送・燃料などの生産コスト上昇、などです。

 今後、原油相場の高止まりが長期化した場合、(4)が目立つことが考えられます。その時、(1)から(3)が同時進行していた場合、食品価格高はなお際立つ可能性があり、注意が必要です。

[参考]コモディティ(全般)関連の商品例

海外ETF(新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)成長投資枠活用可)

インベスコDB コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンド(DBC)
iPathブルームバーグ・コモディティ指数トータルリターンETN(DJP)
iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト(GSG)

投資信託(新NISA成長投資枠活用可)

SMTAMコモディティ・オープン