日銀の利上げはゆっくり着実に~2024年中0.25%、2025年中0.5%、2026年中0.75%~

 というわけで、筆者の金融政策見通しは従来から変わっていません。すなわち、最初の追加利上げは「早ければ9月、普通に考えて10月、ちょっと遅くて12月」、利上げペースは「2024年中0.25%、202025年中0.5%、2026年中0.75%」と予想しています。

 その背景にある考え方は、4月3日のレポートで、下のような図表を使って説明しました。

<図表2 2~3年後のイールドカーブのイメージ>

(出所)楽天証券経済研究所作成

 簡単におさらいすると、以下の通りです。

  1. 長期金利の理論値を、潜在成長率とインフレ期待の合計値から、日銀の国債買入、国債保有による緩和効果を差し引いた値と考えると、大ざっぱに2%と計算できる。
  2. 実際の長期金利が2~3年かけてその水準に近づいていくと想定し、日銀は政策金利をゆっくり、しかし着実に引き上げていくと予想する。
  3. 長短スプレッドを過去の平均から1%程度と考えれば、政策金利は最終的に1.0%弱(ターミナルレート)になる。

 こうした考え方の下で、日銀は経済・物価に過度な負荷がかからないよう、2024年中0.25%、2025年中0.5%、2026年中0.75%と、ゆっくり利上げを行っていくと想定しています。

 もっとも、これでは長期金利が具体的にどういう推移をたどっていくか分かりません。そこで本稿では、改めて長期金利をファンダメンタルズにより推計し、想定した見通しと整合的な姿が得られるか、確認してみることにしました。