製造業にはすでに景気拡大局面入りの兆候が~3年周期の景気循環~

 生産面でも、景気拡大局面に向かう兆候が伺われています。ISMが4月1日に発表した3月の製造業景況感指数は50.3と、好不況の分かれ目である50を1年半ぶりに上回りましたが、これは決して単月のフレではありません(図表3)。

<図表3 ISM製造業景況感指数>

(出所)Bloomberg、楽天証券経済研究所作成

 図表3をよく見ると、ISM製造業景況感指数はおよそ3年周期で循環していることが分かります。こうした循環は決して偶然できたものではなく、在庫循環と関連付けて考えるのが自然です。在庫循環とは一番短い周期の景気循環で、その周期は一般的に3年と言われています。

 しかも、製造業景況感指数のこうした循環は、米国だけの現象ではありません。図には示していませんが、欧州や中国など各国の製造業景況感指数も、貿易を媒介として、同じような循環が見受けられます。こうした循環を前提に3月の立ち位置を考えると、3年という景気循環における拡大局面の入り口にいることが示唆されます。

ISM製造業景況感指数は生産者物価指数に影響を及ぼす

 となれば、気になるのが物価への影響です。製造業の景況観が今後さらに改善していけば、その影響をダイレクトに受けるPPI(生産者物価指数)も上昇していくことになります。図表4は両者の動きを2010年から見たものですが、確かにISM製造業景況感指数の変動に少し遅れる形でPPIが変動していることが分かります。

<図表4 ISM製造業景況感指数と生産者物価指数>

(出所)BLS、Bloomberg、楽天証券経済研究所作成

 統計的には、ISM製造業景況感指数に6、7カ月ほど遅れてPPIが変動しているという関係があるため、この関係を利用してPPIの先行きを推計したのが図中の点線になります。これによると、PPIの前年比は今年末に3%程度になる見込みです。