米物価指標やGDPが市場予想上回る場合、一段のドル高にも注意

 ドル相場は為替介入への警戒感や、中東情勢によって1ドル=155円手前で足踏みしていますが、米国の金融政策のタカ派姿勢が4月30日~5月1日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で確認されるとドル高円安地合いが続くことが予想されます。

 FRB高官からすでに利下げ慎重発言が相次いでいることに加え、これまでハト派だったパウエル議長も利下げ時期の確認までに「時間がかかる」と方針を変えていることから、今回のFOMCで利下げ慎重姿勢が確認されてもサプライズ(驚き)ではなく、市場の反応も緩やかな動きになるかもしれません。

 FRBの一翼を担うニューヨーク連邦準備銀行のウイリアムズ総裁が18日に、「経済指標で目標達成に利上げが必要と示されれば、当然そうしたい」と今後の利上げの可能性も否定できないとの認識を示しました。

 FOMC全体ではそこまでタカ派にはならないだろうと思います。しかし、FOMCの直前に発表される4月26日の米国3月PCEコア・デフレーター(市場予想は前年同月比2.7%上昇、2月実績は2.8%上昇)が強めに出た場合は、もう一段のドル高になる可能性があるため注意する必要があります。

 また、その前日25日に発表される米国1-3月期実質GDP(国内総生産)にも注目です。予想は前期比年率換算で2.5%増ですが、前期の3.4%増からは伸びは減速するものの、予想を上回ると利下げ期待を後退させる可能性があるため注目です。市場予想の2.5%増でも、3月のFOMCで示された2024年末のGDP見通し2.1%増を上回る数字となります。

投機筋円売りポジション17年ぶり高水準、GW中の流動性低下で円高反転の可能性

 CFTC(米商品先物取引委員会)が発表した4月16日時点のIMM通貨先物の円売りネットポジションは、16万5,619枚(x1,250万円=約2兆円)となっています。IMMの通貨ポジションは投機筋の動向を見る上で参考になります。

 現在の水準は、2007年6月26日以来(18万8,077枚)17年ぶりの高水準となっています。日本では4月末からゴールデンウイーク(GW)連休を控えていることから、流動性が低下することが懸念され、日銀会合や介入をきっかけに円売りポジションを閉めてくる(円高要因)のかどうか注目です。GWの連休時は、流動性が低下するだけでなく、値動きも荒くなりやすいため注意する必要があります。