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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
高値波乱の日経平均、イオン「買い」継続

日経平均乱高下

 先週(営業日4月8~12日)の日経平均株価は、1週間で531円上昇して3万9,523円となりました。

 その前の週(営業日4月1~5日)の日経平均は、米長期金利・米国株下落を嫌気して1週間で1,377円下落しましたが、先週は、押し目買いが入って反発しました。日本の景気・企業業績が良好であること、1ドル=153円台まで円安が進んだことが好感されました。

日経平均と米国ナスダック総合指数の推移:2021年末~2024年4月12日

出所:2021年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 日経平均は、年初から外国人投資家の大量買いで大きく上昇してきましたが、3月以降、買いの勢いが低下し、売り買いが交錯するようになっています。

 ファンダメンタルズ(景気・企業業績)は良好であるものの、米金利上昇が不安材料となり、外国人の売買の方向が定まらなくなっています。

米長期金利が4.5%まで上昇

 米金利の上昇が不安材料となっています。米景気が堅調、米インフレ率の低下が遅れていることから、6月にも米利下げと期待していた金融市場にとって、肩すかしとなりそうです。

米インフレ率(CPI総合・コア指数の前年同月比上昇率)の推移:2020年1月~2024年3月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 米景気が堅調であることに加え、中東情勢の緊迫化もあって、原油先物が反発していることも影響しています。

WTI原油先物(期近)の推移:2022年1月3日~2024年4月12日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 米長期(10年)金利が4.5%まで上昇しており、通常だと、米景気や米国株に悪影響が及んでもおかしくないところです。金融市場は、今のところ、米金利上昇にあまり影響を受けていない状態です。

米長短金利(10年金利とFF金利)推移:2021年末~2024年4月12日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 米景気は、長短金利が逆転してから1年経過した頃にリセッション(後退期)入りすることが多く、2024年に米景気後退を予想するエコノミストが多数いました。ところが、2024年に入っても米景気は堅調で、2024年の米景気見通しの引き上げが増えています。そうした背景もあって、米金利上昇に対する金融市場の警戒が、足元で薄れているところがあります。

 米金利上昇のマイナス影響を受けないまま、米景気・米国株が順調であることに不安を感じる投資家もいて、目先、米国株も高値波乱となる可能性もあります。 

日本株の投資判断

 日本株の長期的な投資判断は変わりません。日本株は割安で、長期的な上昇余地は大きいと考えています。

 ただし、日本株の今年の上昇ピッチがやや速すぎたこと、米金利上昇の影響が気になるところであり、短期的にはスピード調整があってもおかしくないと考えています。これから本格化する3月決算を見極めるまで、すこし様子見してもいい局面と思います。

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