市場外取引が大きくなったため、市場での売買統計が実態を表さないことも

 外国人投資家や、国内の機関投資家は、証券会社に売買を代行させることがあります。例えば、外国人投資家が買い実行したいとき、証券会社に買いを取引所で代行させることがあります。

 証券会社は、取引所が閉まってから、市場内で買い付けた玉を、市場外取引で、外国人にクロス取引で引き渡します。これだと、取引所の統計では、買っているのは証券会社自身となり、外国人であることが分かりません。

 また外国人投資家が、大口の売りを実行したいときは、証券会社に代行させることもあります。証券会社は、取引所内で売りを行い、取引所が閉まってから、クロス取引で外国人投資家から売り玉を受け取ります。

 これだと、取引所での統計では、売っているのが証券会社となり、外国人が売っているのか分かりません。

短期的にスピード調整の可能性

 東証の売買統計が実態を表しているか、表していないか、実態は分かりません。いずれにしろ、短期的には、日本株は米国の金利上昇などを警戒してスピード調整となる可能性もあります。短期的には、警戒が必要です。

 ただし、日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいという見方は変わりません。短期的な調整リスクを考慮しつつ、時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。

▼著者おすすめのバックナンバー

2024年4月15日:高値波乱の日経平均、企業業績は良好だが米金利上昇に不安(窪田真之)
2024年4月11日:総合小売業の成長企業イオン!「買い」継続。2期連続で営業最高益へ(窪田真之)
2024年3月25日:平均利回り4.4%、日経平均が急騰する中、値下がりが続いてきたJリートを見直す。(窪田真之)