2023年10-12月期決算は予想下押し、今後のグローバル戦略に期待

現地コード 銘柄名
09999

網易

(ネットイース)

株価 情報種類

176.20HKD
(3/1現在)

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 中国のオンラインゲーム大手、ネットイースの2023年10-12月期決算は売上高が前年同期比7%増の271億元と、市場予想とBOCI予想を各4%下回った。モバイルゲームの29%の増収を背景にゲーム事業の売上高は12%増。市場競争の激化に伴う販促費の増大が響き、全体の営業利益率は25.3%と市場予想に届かなかった。BOCIは同社がこの先、ゲームジャンルの創新(イノベーション)や地理的な拡大、効率化、技術の統合、人材採用といったグローバル化戦略を着実に実行するとの見方。2024-25年は国内市場が主要エンジンとなるが、2026年以降は海外市場が成長をけん引する見通しを示した。一貫した資本還元策を前向きに評価した上で、目標株価を維持。株価の先行きに強気見通しを継続している。

 同社はゲームジャンルや端末の種類、地域を問わず、ゲームプレイのイノベーションやコンテンツ制作、技術の統合を推進し、多様化するユーザーのニーズに対応する見通し。BOCIは今後数年にわたる国内市場向けの多様かつ継続的なパイプライン(開発プロセス)を有力視。海外市場では◇適切な市場で特定作品のテストを忍耐強く行う、◇トリプルエー(世界的大ヒット作)クラスのオリジナルIP制作に取り組むためのスタジオを先進国に設立する、◇国際業界のベテラン人材を誘致する、◇専門特化型のグローバルスタジオに投資する――などの戦略を継続するとした。グローバルスタジオが開発したトリプルエー・タイトルは2026年にもリリースされる見通し。新作の投入予定など各種想定値のアップデートに伴い、2024年、2025年のゲーム収入を4%、2%減額修正したが、チャネルやコスト効率の改善が続くとみて、粗利益率に関する予想をほぼ据え置いた。販売費や研究開発費を理由に、営業費用に関する予測はわずかに上方修正している。

 2023年10-12月期決算は売上高が前年同期比7%増の271億元。主力のオンラインゲーム収入は12%増の195億元で、うちモバイルゲームが29%増収、PCゲームが23%減収。非ゲーム収入は3%減の76億元。全体の粗利益率は前四半期から横ばいの62.0%と、市場予想を上回ったが、営業利益率は下振れの25.3%だった。同社は2026年1月までの3年間で50億米ドル規模の自社株買いを計画しているが、2023年末の消化率は13%。2023年の配当性向はこれまでの約30%から、75%超に大きく上昇している。

 BOCIは1ADS(米国預託株式)当たり調整後利益をベースに2024年予想PER(株価収益率)15.0倍をあてはめた上で、オンライン教育事業子会社の有道とクラウド音楽事業の評価額や手元資金分を上乗せし、同社の目標株価を維持した。株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、マクロ経済の減速と、それに伴うオンライン支出への影響、ゲーム規制の可能性、競争激化、投資の失敗、パートナーシップの減退、ADR上場廃止などの可能性を挙げている。